親からお金を借りるときに贈与税はかかる?課税の対象になるボーダーライン

結婚式のお金を払うのが難しい、新しく家を買うための資金が欲しいなど、大金が必要になる場面は人生の中で一度は訪れるのではないでしょうか。

お金を借りたくても、消費者金融や銀行カードローンの利用は抵抗がある人もいますよね。

そんなとき、「親から借りる」のも選択肢のひとつです。

親から借りれば金利がかからないうえ、返済に余裕をもたせることも可能でしょう。

しかし親から借金をする際には、贈与税に気をつけないといけません

今回は、親からお金を借りるときの注意点と贈与税について紹介します。

この記事でわかること

  • 親からであっても借り方を間違えると贈与税の対象となる
  • 税金がかからないボーダーラインは110万円
  • 親に車を買ってもらった場合でも110万円を超えると贈与税の対象
  • 贈与税の対象となった場合は10万円〜640万円の税金を支払うことになる
  • 住宅資金や教育費なら無税で借りられる

親からお金を借りるのは贈与税の対象?

お金を手渡している様子

親からお金を借りるとき、贈与税がかかるのかが気になりますよね。

借り方を間違えると、贈与税がかかってしまいます

もらうのとは違い、お金を借りるだけだから贈与にはならないのではないかと思う人もいるでしょう。

身内から借りると口頭だけの約束になり、返済があいまいになるケースも多くあります。

それが、税務署に贈与と判断されてしまう原因です。

少しでも税金を抑えたいと思うのなら、贈与税についてきちんと理解するのが大切です。

とはいえ、お金を借りたい旨をまだ親に伝えられていない人もいると思います。

例えば学生がお金を借りる場合、親に頼まなくても金融機関の貸付対象になりますので、まずは他の借入方法を検討してみてはいかがでしょうか。

贈与税について詳しく解説【税金がかからないボーダーラインは110万円】

通帳と印鑑

贈与税とは、1年間にもらった金額の合計にかかる税金のことです。

国税庁のHPにも書かれているように、受け取った金額が110万円を超えた場合に贈与税がかかります

贈与税は、一人の人が1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産の合計額から、基礎控除額の110万円を差し引いた残りの額に対してかかります。
1年間にもらった財産の合計額が110万円以下なら、贈与税はかかりません。

引用元: 国税庁

贈与税には一般贈与財産と特例贈与財産があり、あげた人ともらった人の関係性によって、税率が異なります。

一般贈与
財産
兄弟や配偶者などの直系尊属以外の親族や他人から贈与をうけた場合
親から子への贈与だが、子が1月1日現在で20歳未満の場合
特例贈与
財産
直系尊属の親や祖父母から、1月1日時点で20歳以上の子(孫)へ贈与する場合

今回は、親から贈与をうける特例贈与財産に焦点を当て、話を進めていきます。

生活が苦しいから両親や祖父母に援助してもらったり、マイホーム購入の頭金を借りたりするとき、少しでも贈与税を抑えたいと思いますよね。

110万円を超えてしまったら、贈与税はいくらかかるのでしょうか。

贈与税はいくらかかるの?計算方法がわかれば税金を少なくできる

お金と電卓

贈与税は、受け取った金額によって税率が変わってきます

特例贈与財産の税率は、以下のとおりです。

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10%
400万円以下 15% 10万円
600万円以下 20% 30万円
1,000万円以下 30% 90万円
1,500万円以下 40% 190万円
3,000万円以下 45% 265万円
4,500万円以下 50% 415万円
4,500万円超 55% 640万円

引用元: 国税庁

この表を参考に、400万円を親から贈与された場合について考えてみましょう。

基礎控除後の課税価格は、400万円-110万円=290万円です。

290万円にあてはまる税率は15%なので、計算式は290万円×15%ー10万円となり、33.5万円の贈与税がかかります。

税金の計算と聞くと、難しそうなイメージを持ってしまいますが、贈与税の計算は意外と簡単にできます。

基本的に贈与を受けたすべての金額に贈与税がかかりますが、課税対象にならない場合もあります。

次の項目からは、贈与税がかからない方法について説明します。

贈与扱いされない場合もある?住宅資金や教育費は課税されない

ノートとお金

110万円以上の高額贈与を受けたときでも、税金を払わなくていいパターンがあります。

贈与税がかからない場合を、以下にまとめました。

  • 夫婦や親子、兄弟からの生活費・教育費
  • 祖父など直系尊属からの教育資金
  • 宗教や慈善活動、学術などの公益を目的とする事業に使う場合
  • 奨学金をもらう場合
  • 直系尊属から住宅取得等資金を受けとる場合
  • 直系尊属からの結婚・子育て資金
  • 法人からの財産贈与(この場合は所得税になる)

意外と、贈与税の対象にならないパターンが多いですよね。

子供への仕送りや結婚資金の贈与は税金がかからないため、ほっとした人もいるでしょう。

ただし、上記の目的でお金を借りるのなら、親ではなく無利子の公的融資制度を検討したほうが身内間の金銭トラブルを避けられます。

例えば生活福祉資金貸付制度や母子父子寡婦福祉資金貸付金の審査では生活が苦しい人ほど優遇してもらえるうえ、親にお金を借りるのと同様、無駄に支払うお金が発生しません。

親からお金を借りるのは、最終手段として考えたほうがよいでしょう。

住宅資金や生活費の贈与について、詳しく説明していきます。

住宅取得等資金贈与なら700万円まで無税!

お金

新しく家を買うとき、毎月のローン返済額を少なくしたいという理由で頭金を親や祖父母から借りる人も多いのではないでしょうか。

一般的な戸建やマンションの購入であれば、700万円まで無税で贈与を受けられます。

太陽光発電などの省エネ住宅は、1,200万円まで税金がかかりません。

消費税が10%になれば、2021年の3月末まで限度額が上がります。

住宅取得等資金の贈与の非課税限度額(消費税が10%の場合)

適用期間 省エネ住宅 一般住宅
2019年4月1日〜2020年3月31日 3,000万円 2,500万円
2020年4月1日〜2021年3月31日 1,500万円 1,000万円
2021年4月1日〜2021年12月31日 1,200万円 700万円

1年遅くなるだけで限度額が1,500万円も変わってくるため、住宅の購入を検討している人は早めに行動したほうがいいでしょう。

注意ポイント

この制度はあくまで「住宅の購入」のためであり、住宅ローンの返済としては認められません。

結婚式の費用を受け取る場合も贈与税はかからない

結婚式場のチャペル

住宅の購入と同様、結婚式も人生の一大イベントですよね。

最近では昔のように派手な結婚式を挙げる人は少なくなってきましたが、ドレス代や食事代などの出費は避けられません。

結婚資金として親からお金を借りたい場合、1,000万円までなら免除になります。

受けとる側が20歳以上50歳未満であることが、条件です。

結婚披露宴だけでなく、新居への引っ越し費用や家賃にも使えます。

1,000万円まで無税になるのは、2019年3月31日までです。

それ以降は、300万円が限度額になるので気をつけましょう。

300万円あれば、自己負担額はだいぶ少なくなりますよね。
管理人も結婚するときに、両親から援助してもらいました。

生活費(仕送り)や教育費は非課税

家計簿

1人暮らしをしている子供への仕送りや教育費は、贈与税の対象外です。

30歳未満であれば、1,500万円まで一括でもらうことができます。

こちらも結婚資金と同じく2019年3月31日までの制度で、終了後は500万円までとなります。

祖父母から大学や留学資金としてまとまったお金をもらう予定がある人は、早めの行動が賢明です。

大学へ進学するために一人暮らしを始めた未成年がお金を借りる場合は、親を頼らず金融機関を利用する選択肢があります。

もちろん非課税なので、贈与税を気にする必要はありません。

親に110万円以上の車を買ってもらうのはアウト

就職祝いなどで、車を買ってもらう人も多いと思います。

110万円以上の車は、贈与税がかかってしまいますので注意してください。

上述したとおり、生活費や教育費としての贈与なら非課税です。

車がないと会社や学校へ行けない事実が認められれば、免除になる場合もあります。

通常の日常生活に必要な費用であることが条件のため、度が過ぎた高級車は選ばないほうがいいでしょう。

親から無税でお金をもらう方法

ATM

贈与額が110万円を超えなければ無税となり、確定申告する必要はありません。

お金だけでなく、土地や車などの物品も当てはまります。

一度に500万をもらうのではなく、100万円を5年間にわけてもらったほうが節税になるというわけです。

また生活費や教育費は1,500万円、結婚資金は1,000万円以下なら税金はかかりません。
(※2019年の3月31日までの金額)

限度額のなかでうまく借りるのが、ポイントです。

親から借金をするときの注意点

お金と通帳

親からお金を借りるときは、金額や受け取り方法に注意しないといけません。

不正をすると、ペナルティで余計な税金を払うことになってしまいます。

これから説明する注意点を読んでいただければ、損をせずに贈与を受けられるので、ぜひ参考にしてみてください。

贈与税を未納するとペナルティがある

通帳

贈与税を払わなかったとしても、すぐにバレる可能性は低いです。

ただしこれは贈与額が数百万程度の場合であって、あまりにも高額な贈与を受けたら不自然だと税務署は目を光らせます。

税務署は、特に親族間のお金の貸し借りに神経質です。

すぐにはバレなくても、調査によっていつか必ず発覚します。

贈与税の未納がバレたときのペナルティは、以下のとおりです。

各年分の無申告加算税は、原則として、納付すべき税額に対して、50万円までは15%、50万円を超える部分は20%の割合を乗じて計算した金額となります。

引用元: 国税庁

後から未納がバレて余分に税金を取られたくなければ、毎年きちんと申告しましょう。

申告期間は2月1日から3月15日です。

借用書を作って税務署の調査をクリアしよう

紙とペン

どうしても一括で高額を借りたいときは、借用書を作ると贈与扱いされません

借用書を作る際に大事なのは、利子と返済計画を明確にすることです。

無利子ですと、利子に相当する金額の利益を受けたものと捉えられて贈与として認識されます。

出世払いのように、返済する時期があいまいな契約も税務署は認めません。

効力のある借用書の書き方を勉強してから、作成しましょう。

親戚から借りると贈与税率が高くなる

親戚からお金を借りるときも、金額が110万円以下なら贈与税はかかりません

親から借りる場合は特例贈与、直系尊属以外の親族から借りる場合は一般贈与と言われています。

110万円以上をもらったときにかかる税率は、特例贈与よりも一般贈与のほうが高くなります。

高額を借りたいときは、親戚よりも親のほうがおすすめです。

親から借りられないのであれば、借用書を作れば節税できます。

まとめ

親からお金を借りるとき、贈与税の対象にならないのは110万円以下です。

一括ではなく毎年110万円ずつ受け取るのが、かしこい贈与の方法になります。

お金の用途が住宅資金や結婚資金であれば、限度額はあがります。

各制度の非課税枠を上手に使って、損をしない借り方をしましょう。